交通事故と損害賠償請求権に関する基礎知識
2009年の統計によると、日本における交通事故の発生件数は、東京都の特別区内だけでも約4万件に及びます。1日に換算すると、約100件。
これを多いと捉えるか少ないと捉えるかについては個人差があるかもしれませんが、生死に関わる重大な交通事故に巻き込まれる可能性は、日々の生活の中にも確実に潜んでいます。
もしあなたが交通事故の被害者となった時、愛する家族のために法的にどんな主張が可能なのでしょうか。
交通事故の基本知識を紹介しています。
そう考えると、いざという時のために、交通事故で発生する損害賠償請求に関する基礎知識は押さえておくべきでしょう。まず、被害者が交通事故で死亡した場合、その人が生きていたら生涯で得たであろう金額を基準に損害賠償請求権が発生することになります。
こうした損害のことを逸失利益と呼んでいますが、この金額は、被害者が就労者であるのか、非就労者、たとえば学生であるのかといった観点から特定の計算方式に従って算出されます。
そして、この金額分の損害賠償請求権が、被害者の遺族に相続される事になります。
では、被害者が死亡した場合に、慰謝料に関する請求権は遺族に相続されるのでしょうか。
慰謝料とは、精神的損害に関する賠償請求権なので、被害者本人が賠償してもらいたいと思っているか否かが重要になります。そのため、被害者が死んでしまうと、被害者本人が精神的損害につき損害賠償を求めたいかが不明確となるので、法的な処理方法が問題となるのです。
ここで、かつての判例は、被害者が死ぬ間際に残した発言などから、慰謝料として精神的損害に対する賠償請求を行う意思があったかを推測するという判断方法を採用していました。
しかし、これでは何らの発言を残せないまま死亡した被害者が救われない結果となり、とりわけ被害者即死の場合には慰謝料請求が認められない不合理な結果を招きました。
そのため現在の判例法理では、原則として、被害者本人が生存していたら必ず慰謝料請求をしたと認められる事情のある場合は、慰謝料請求権が発生し、相続される事となっています。
従って、交通事故に巻き込まれた被害者の遺族は、慰謝料も相続できるのです。
